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北青鵬の不祥事と一部報道されている大の里の行為について比較して考えてみる

大の里が「未成年の力士と飲酒をした」と報じられ、世間を騒がせています。

単に和気あいあいと飲んでいる中に未成年の力士もいた…というだけなら、一昔前ならこれだけ騒がれることは有り得ない事でしたが、「角界の常識は世間の非常識」という認識がすっかり定着してしまったこの令和の時代においては、単にそれだけだったとしても糾弾されてしまいます。

そして今回の件については、「単にそれだけ」ではなかったという疑惑が生じているのです。

即ち、和気あいあいとした酒の席でのことではなく、「アルハラ(アルコールハラスメント)」というべき事態だったのではないか…ということです。

その真偽は、私の様なヨカタには分かりかねるのですが、「北青鵬や宮城野親方への処分に比べて甘すぎる」という声が上がっている為、今回の記事では北青鵬と大の里、そして宮城野親方と二所ノ関親方の行動について比較・考察をしていきたいと思います。

もちろん「一部報道されている内容が真実であったなら」という大前提です。単に和気あいあいと飲んでいただけの事を、読者獲得の為だけにゴシップ満載で騒ぎ立てている可能性も十分に考えられますが、今回は「仮に真実であった場合」を想定して書いていきます。

※あくまで個人的見解である事をご承知おきください。

北青鵬と大の里の行為を比較

北青鵬と大の里の行為を比較した時、両者の行為は同等に悪質なものであると言えます。

どちらも他人の身体・生命に対する侵害行為を行っています。一見すると「急性アルコール中毒の方が致死リスクが高いのだから悪質だ」とも思えてしまいますが、北青鵬の行為についても協会の発表の中にあった「急所への平手打ち」は強烈な痛みによって重篤なショック症状を引き起こす恐れのある、非常に危険な行為です。場合によっては傷害だけでは済まなかったでしょう。

ですから、他人の身体・生命に対する侵害行為という意味では同等に悪質なものであると言えるでしょう。

しかし北青鵬の場合は、それらの行為に加えて他人の財産に対しても侵害行為を行っていたわけですから、結果的には大の里より重い処分が下るのも当然の話です。

ただ、他人の財産に対する罪を差し引いても「北青鵬は引退勧告で大の里は厳重注意のみ」という処分の差は明らかにバランスを欠いています。これは当人たちの問題ではなく協会執行部の問題でしょう。

コロナガイドライン違反はどうなのか

余談ですが、ここでコロナガイドライン違反で出場停止処分を下された朝乃山・阿炎・竜電について考えてみましょう。特に朝乃山に至っては6場所出場停止という厳罰を下されていますので、「あまりにも処分が重すぎた」と今なお思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

もちろん「接待を伴う飲食店へ出入りした」、「不倫関係にあった一般人女性と逢瀬を重ねていた」といった行為そのものが「他人の身体・生命に対する侵害」というわけではありません。

しかしながら、三者ともガイドライン違反を行ったのは勝武士さんが新型コロナ感染症で亡くなった後の事であり、生活習慣病を患っている人が多い上に集団生活を送っている相撲部屋へウィルスを持ち込むことがどれほど危険な事か…即ち力士生命どころか生命そのものを奪われてしまうリスクもあるという事は分かっていたはずです。

故意に「部屋にウィルスを持ち込んでやろう」などと考えての行動ではない事は解りきった事ですが、生活習慣病を患っている人が罹患したら重症化して亡くなってしまうリスクを承知した上でウィルスを持ち込んでしまう可能性のある行動に出たという事は、

「そうなるかもしれないという認識はしていたが、そうなっても構わないと思っていた」と『未必の故意』を疑われてもおかしくはありません。そうなってくると、行動そのものは直接的なものでなかったとしても、間接的に他人の身体・生命を侵害する事になっていたかもしれないわけです。

それだけ危険な行為だったのだから3場所出場停止、朝乃山については看板力士である上に協会の聴取に対して虚偽報告を繰り返したため加刑…という事になったのでしょう。

ただ、「看板力士である事」・「協会の聴取に対して虚偽報告を繰り返した事」の結果として他二人の倍となる期間の出場停止処分が妥当だったのかは分かりません。妥当でなかったとすれば、単に「庇おうとしてやったのに嘘ばかり言いやがって」という感情裁定が行われたのではないでしょうか。

いずれにしても、何かが起こった時に執行部だけで処分を決めるのではなく、平等かつ公平に処分等を考えられる弁護士を入れるべきではないでしょうか。まあ協会が金で抱き込んで好き勝手やる可能性の方が高いですが(笑)

宮城野親方と二所ノ関親方の行動を比較

二所ノ関親方の行動については詳細な調査及びその発表がない為に憶測で比較するしかありませんが、それでも宮城野親方より罰が軽くなる可能性は高いと言えるかもしれません。

両親方のこれまでの処分歴

現役中も含めて両親方のこれまでの処分歴を考えると、どうしても宮城野親方の方が多くなってしまいます。

二所ノ関親方は横綱昇進後の大怪我で途中休場等が続いてしまい、横綱審議委員会から史上初となる激励を受けた、くらいしかないのではないでしょうか(もしありましたらコメントで教えてください)。

それに対して宮城野親方は、表彰式で勝手に万歳三唱や手締めを行った事、負けた取組で結果を不服としていつまでも土俵を下りなかった事など、処分歴は枚挙に暇がありません。公の処分とならなかった事についても、取組中の執拗な張手や相手の顎を目掛けたカチ上げ、審判に対する苦言など、「強ければ何をしても良いと思っているのか」と苦言を呈されてしまう様な行動を繰り返してきました。

そして親方になる際には異例の誓約書へのサインを求められています。

これらの背景が、宮城野親方の処分を重くしてしまった要因なのでしょう。しかし部屋の取り潰しという厳罰が公正かつ理知的な判断によって下されたとはどうしても思えません…。

明らかになっていない二所ノ関親方の行動

現在、二所ノ関親方の行動で報じられているのは「昨年9月に起こった出来事を4月に協会へと報告した。また、師匠としても大の里に対して厳しく叱責した」という事だけです。

これが親方による協会への隠蔽なのか、それとも力士たちによる親方への隠蔽だったのかは明らかではありません。ですので、「昨年9月に起こっていたことをなぜ今になって報告したのか。隠蔽だ!」と言うのは早計でしょう。

二所ノ関親方が知らなかった場合

力士たちは少なくとも中学は卒業しており、乳幼児を預かっているのではないですから、風呂場で起こった事まで詳細に把握するのは難しいでしょう。ましてやそれが力士たちによって隠蔽されていたのなら、例えば定期的に親方と力士との個別面談を行っていたとしても被害者力士が報復を恐れて親方に伝えられなかったかもしれません。

親方が弟子たちを理解しようと努めていたのにもかかわらず事実として上がってこなかったというのであれば、被害者力士から相談を受けながらも1年以上加害を止めることが出来なかった宮城野親方との間で処分の差が出て来るのは当然の事です。

二所ノ関親方が知っていた場合

対して、二所ノ関親方が事実を知りながら協会に対して隠蔽していた場合は、宮城野親方と同等の悪質性という事で処分を考えるべきでしょう。

ただ、ここに来るまでの背景は違いますから、悪質性は同等だとしても結果として処分に差が出る事は仕方のない事でしょう。初犯か再犯かで判決が変わるのと同じ事です。

結論 協会は明らかにクロ!

客観的事実として異なる部分は実際にありますから、両者の処分に『差が出る事』それ自体は問題無い様に思います。

しかし、その『差』があまりにも大きく、完全にバランスを欠いている為、協会が好き勝手な裁定をしているというのは間違いないでしょう。

なぜ被害者力士への聴取を行わないのか

そもそもなぜ協会は飲酒を「したor強要された」力士に事情を聴かないのでしょうか。そこで「親方にも相談していたのに止めてもらえませんでした」という話が出てしまったら大問題へと発展してしまい、稀勢の里理事長計画も大の里横綱物語もおジャンになってしまうから聴取できないのだ…と勘ぐってしまいます。

報道で被害者とされている力士に対して「部屋のいじめはなくしてやるから、相撲を続けたかったらこれ以上は黙ってろ」と明示又は黙示の脅迫をしているのではないでしょうか。

協会が横暴のツケを払う時

「二所ノ関君は将来の協会理事長になる人だから厳重注意だけで済ませておこう」

「宮城野はずっと目の上のたん瘤だからこの際部屋も取り潰してやろう」

という意図が透け透けです。しかし、今回のその横暴な裁定のツケを払う時が必ず来ます。

即ち、横綱を二人も育てている最高の指導者である伊勢ケ浜親方の元へと、現役時代の実績と金にものを言わせて宮城野親方が集めまくった将来有望な若手を送り込んでしまった事で、伊勢ケ浜部屋・一門は益々繫栄する事となるでしょう。

その繁栄が、協会の思い描いた「二所ノ関理事長、横綱大の里」の夢を打ち壊してしまう…なんてことにはなって欲しくないですが、無いとも言い切れません。

力士たちよ頑張れ

親方や協会執行部にどんな思惑があったとしても、力士たちがすべきことは来る本場所で1番でも多く勝つ事だけです。

伊勢ケ浜部屋へと合併吸収された力士たち然り、大の里然り。

いくら横暴な裁定だったとしても、そうと決まった以上は我々が「アルハラ力士は出て来るな!」などと叫んだところで何も変わりません。まあ余りにも批判的な観客が増えたら後付けで調査を開始するかもしれませんが(笑)

もし今回の事が真実だったとしても、それを心から悔い改めてまた力士として相撲に精進するのであれば、私は変わらず応援し続けたいと思います。

本当に反省しているかどうかは、土俵で語ってもらうとしましょう。

それではまた。